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h.t.y.s

どこかの星の物語

王族の娘

私は、王族の娘として生まれた。

 

王族といっても傍流の家である。

しかし、本家筋には王位を継承できる子がいない。

 

したがって、いつか私が王となる日が来るかもしれない。

幼い頃からずっと、そう言われ育ったのだ。

 

それが、どれ程、窮屈なものであったことか。

 

遊廓

ぼくの住むこのあたりは、「貧民街」と呼ばれている。

正しくは「低所得者層居住区」というのだが、

みな、そんな言い方はしない。「貧民街」である。

 

この街のそばには、『ヨシワラ』という遊廓がある。

『ヨシワラ』は王宮公認の遊廓だから、

そこにいる女達は気位が高いという。

 

『ヨシワラ』には、貧民街出身の女も多いという。

知らぬうちに子ができることもあり、

そういった子供は、貧民街に捨てられる。

 

2000年王朝の王宮

ぼくは、この王国が好きだ。

なにより、この王朝は2000年以上も続いているということが、ぼくら国民の誇りだ。

なかには、そんなの作り話さと言う人もいるけれど、ぼくは、そうは思わない。

 

今の国王も好きだ。尊敬している。

国王は、国民のほとんどに、尊敬されていると思う。

 

もちろん、

ぼくなんかは、王宮のそばに近づくことすら、許されてはいないのだけれど。

ぼくら『貧民』の階級は、王宮のあるエリアには入れない。

だから、国王は、テレビでしか見たことがない。

 

本当は、一度は、王宮エリアへ行ってみたいのだけれど。

でも、どのみち仕事も忙しくて、行くことなんかできない。

 

蟹漁船の歌をうたう

「さっさと仕事をしろ」という、船長のがさつな怒鳴り声には、

いつもウンザリしている。けれど、口答えなんてしようものなら、

後で ”しこたま” ゲンコツされることは分かり切っている。

 

蟹たちは、夜になると海面近くまで浮上してくる。

蟹といっても、普通の蟹ではない。

とてつもなく、デカイのだ。昔、物語で読んだクラーケンくらい大きい。

浮上してきた蟹に、機械をつかい大きな「銛」を突き刺して仕留める。

 

そんな、漁船の男達だから、当然、皆荒々しい。

ぼくも、いつかは、そんな男達のうちの一人になるのだろうと思う。

男達は、漁から帰ると、風呂につかり皆で歌をうたう。

そのひと時は、少し楽しい。

 

この星に似た惑星

39光年先に、この星に似た惑星があるという。

その星には、生命はいるのだろうか。

いたとして、僕らと同じようにヒト型の生き物だろうか。

いるかもしれないし、いないかもしれない。

この星に僕らのような生き物がいるのは、偶然かもしれないし、必然なのかもしれない。

でも、偶然だとしても、39光年先の惑星にも、もしかしたら生命はいるかもしれない。