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h.t.y.s

どこかの星の物語

死者の国

この星のどこかに、

死者の国があるという。

死者の国には、

今まで死んだ無数の人間がそこに「存在」しているという。

それは、魂というものなのだろうか?

死んだ者はみな、そこへ行くのだろうか。

僕の父母もそこに「存在」しているのだろうか。

だとしたら、僕はそこへ行きたいだろうか。

僕は自分の気持ちがまだ分からない。

海は怖い。

人間がいくべき場所だとは思わない。

それでも、蟹漁船の男達は海へ出ていく。

なぜ出ていくのか。

なにしろ、蟹は高く売れるのだ。

金だ。

 

金が男達を海へ向かわせる。

僕らは貧民だからだ。

普段は怠惰な男ですら、海へ出る。

年に数人は海で死ぬ。

 

海は怖い。

しかし、僕らは貧民だ。

蟹は高く売れる。

貧民の男が死んでも、誰も嘆かない。

私の姉

私には「姉」がいる。

「姉」がいるなら、

私が王位を継承することはないはずだ。

 

だが、昔から、

いつか私が王となる日が来るかもしれない。

幼い頃からずっと、そう言われ育ったのだ。

 

なぜか?

私の「姉」は、

幼い頃に神に恋をしてしまったせいだ。

王族の娘

私は、王族の娘として生まれた。

 

王族といっても傍流の家である。

しかし、本家筋には王位を継承できる子がいない。

 

したがって、いつか私が王となる日が来るかもしれない。

幼い頃からずっと、そう言われ育ったのだ。

 

それが、どれ程、窮屈なものであったことか。